絶品!トマトレモンそばができるまで
2024/09/05

絶品!トマトレモンそばができるまで

飛騨市にインターン生として来ている、立教大学観光学部のももねです!

私は、料理に使われる食材がどのように育てられているのか、生産者はどのような想いを持って作っているのかを消費者に伝えることが大切であると考え、実際に飛騨市まるごと食堂でコラボしている農家さんとお店の人に取材しに行きました。それぞれの食に対する想いを聞き、その内容を記事にまとめたので、ぜひご覧ください!

【池田農園 池田 俊也さん】

なぜ「トマト」?

Uターンで飛騨市に戻ってきた池田さんは、農業をする前まで岐阜市内の造園業者として勤めていました。日本がTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に参加する是非が話題になったときに、池田さんは農業への関心が高まり、地元ということもあり飛騨市へ。


トマトの栽培を選んだ理由は、飛騨市はトマトを育てるための環境として最適であるからだそう。朝晩は夏でも冷え、日中は暖かいという「寒暖差」がトマトの甘みに直結します。飛騨市は約93%が森林で土地利用が難しいけれど、トマトはハウスの中の狭い面積でも育成が可能であり、栽培のノウハウを知っている人も多く、技術支援も充実しているためトマトの栽培をしようと決めました。

ここがポイント!池田農園のトマトの秘密

トマトを育てるとき、トマトの生育を「手助けする」ことを心がけているそう。日々成長するトマトに対して、ストレスをかけることで甘みの増加を図るのではなく、ベストコンディションの維持に努めています。「適量」は一番難しく、例えば水を与えすぎると亀裂が入ってしまい、すぐにだめになってしまいます。トマトが成長するためのサポートをし、順調に育ってくれることが池田さんの活力にもなっています。


加えてクロマルハナバチという蜂を利用して受粉も行っています。普通のミツバチよりも温厚で、紫外線が強い晴れの日によく飛び回っています。こうした自然の力も借りて、トマトに負荷をかけない栽培方法を徹底しています。

トマト食べ比べ

トマトはナス科で、ナスやジャガイモの親戚です。日本にやってきたのは江戸時代で、もともと観賞用の植物でした。当時は濃い赤で酸味も強く、江戸の人々にとっては刺激が強すぎたそう。食用になったのは明治時代後期と言われています。そんなトマトですが、品種改良を重ねるごとにおいしくなっていきました。

 

今回、私は農業体験をしたときに、三種類のトマトの食べ比べてみました。

1つ目は「ぷちぷよ」です。この品種は、へたの形が特徴的で、さくらんぼのように皮が薄いため他の品種よりも柔らかく、味もフルーツのようでとても甘くておいしいので、トマトが嫌いな方も克服できるかもしれないと思いました。

2つ目は「パトリシア」という品種で、黄色で少し細長く、すっきりとした味わいなので食べやすいのが特徴的です。三つ目の「ジーナ」という品種は、色が濃く、皮も肉厚なので食べ応えがあり、甘さと酸味のバランスがちょうど良いです。

 

昔は酸っぱく食べにくかったトマトが、今では多くの品種改良が重ねられおいしくなりました。

 

個人的には、池田農園の「ぷちぷよ」は美味しかったので、ぜひ食べてもらいたいと思いました。

新たな挑戦!?

夏はトマト狩り、冬はイチゴ狩りを行っている池田農園ですが、現在、ブルーベリー狩りも検討中!1年を通して作物の収穫体験をして欲しいという想いから、トマト・イチゴが獲れない時期に行うことを計画されているそうです。


飛騨市に流れる綺麗な水と1日の寒暖差によって、よりおいしいブルーベリーの収穫が期待できそうですね。

【蕎麦正なかや 中家 智規さん】

トマトレモンそばを食べてみて

使っているトマトは赤・黄色・オレンジと色とりどりなのに加えて、形も様々で視覚で楽しむことができます。種類も多く、食感や甘さ・酸味もそれぞれ異なり、どの料理に合わせてもおいしいのが特徴です。


トマトレモンそばは、そばの上にトマトソース、カラフルなミニトマトとスライスされたトマト、レモンがのっていて、さっぱりしているのにトマトの味が濃厚で、あっという間に平らげてしまうおいしさです。

私のおすすめは、机に常備されている七味をかけて味変させる食べ方で、辛さがアクセントになります。また、タバスコでの味変もやみつきになります。

 


今回のまるごと食堂限定メニューに加え、メニューにある大抵のものは遊び心からできているそうです。大切にしていることは「お客さんに楽しんでもらうこと」で、味だけでなく見た目や使う食材にもこだわり、まかないで試作を繰り返していらっしゃいます。


まるごと食堂で池田農園とは何度もコラボしており、毎年少しずつメニューの改良を行っています。いつも同じメニューだとつまらないという、お客さんを飽きさせないようにするための工夫がされています。

中家さんの蕎麦屋へのこだわり

観光客の要望により蕎麦やうどんの提供を始めたのもありますが、飛騨市は天然の広葉樹が多く生えている山に囲まれているのが特徴的で、広葉樹と栄養たっぷりの土壌によって水が綺麗にろ過されるため、おいしい水を活かして「蕎麦=水が綺麗」と連想してもらえるように作り始めました。

 

現在のメニューにあるもののほとんどは飛騨市産か国内産の食材を使って作られていて、なるべく地産地消を心がけています。飲食店を営む人たちにとって、生産者の顔がわかることはとても重要なことであり、飛騨市では三寺めぐり朝市や道の駅アルプ飛騨古川にある飛騨産直市そやなにある行けば誰が何を作っているかを知ることができ、交流を深めることができます。


飛騨市の食材は綺麗な空気と水、寒暖差など気候条件が優れているところで育つのに加えて、生産者の食材への想いや細かな手入れによって、さらにおいしさが増しています。こだわりの食材を活かすために、ただの蕎麦を作るのではなく、試行錯誤を繰り返し、面白さと素材を引き立てるメニューを日々追求しています。


通常メニューに「君のそば」というものがありますが、あの有名な大ヒット映画をテーマにした一品となっているので、食材に注目すると面白い発見があるかも?

取材をしてみて気づいた「背景」の重要さ

外食をするときに、多くの人は見た目と味にしか興味を持たないと思います。「この食材はどこで作られ、誰によって育てられているのか」、「この料理はどのようにして生まれたのか」など、背景を知ろうとする人はなかなかいません。私は、おいしいものを消費者に届けたいという思いを持つ生産者と、その思いをオリジナルの料理にしてみんなに食べてもらいたいというお店の人をつなぎ、消費者に伝えることを目標に取材しました。実際に農業体験し、料理を食べてみて、背景を知って食べる方が食事の楽しさや食材への感謝の気持ちが高まります。

 

皆さんもいつも食べている食事にはどのような背景があるのか調べてみると、面白い発見があるかもしれません。


ライター

立教大学観光学部インターン生 ももね

当サイトでは、利便性の向上と利用状況の解析、広告配信のためにCookieを使用しています。
サイトを閲覧いただく際には、Cookieの使用に同意いただく必要があります。
詳細はサイトポリシーをご確認ください。