飛騨ではしご酒
2022/10/19

飛騨ではしご酒

たのしい、おいしい、飛騨の夜

はてさて、飛騨古川の夜をどう過ごそうかな? と迷ったら、地元にならってみるのがよいかもしれません。お酒が大好きな古川の人たちは、飛騨古川駅前から壱之町や弐之町あたりを中心に、あっちで飲み、こっちでも飲み、てくてくとはしごして回るそう。地域のごっつぉは地元の人に聞くのが一番。飛騨に暮らすのんべえな飛騨ガールにくっついて、とっておきのお店をはしごしました!

「居酒屋 源」で飛騨名物を教わる

まず飛騨ガールと最初に訪れたのは、地元で人気の「居酒屋 源」。選定の理由は「飛騨の名物が揃っていて、良心的な価格。旅の人にもぴったりですから」とのこと。立地も飛騨古川駅から徒歩5分と好アクセスです。

人気メニューは、「けいちゃん」「漬物ステーキ」「豆腐ステーキ」。「鶏肉と野菜を味噌で炒めた『けいちゃん』は、本来、飛騨地方南部の名物なのですが、古川でもよく食べますよ。漬物や豆腐を鉄板で焼いた『漬物ステーキ』『豆腐ステーキ』もよく出ます。唐揚げも好評ですね」とご主人。旅人にとってはきっと珍しい単語ばかりですが、飛騨っこにとっては昔ながらの定番メニューなのです。

  • けいちゃん
  • 漬物ステーキ
  • 豆腐ステーキ

お料理がぞくぞくとテーブルに並びはじめると、「テーブルが茶色くなっちゃった。あんまり映えんなあ」と、はにかむご主人ですが、お料理はどれも絶品。すっぱそうな印象の「漬物ステーキ」は、やさしくまろやかで旨味たっぷり。甘辛くて香りのいい「朴葉(ほおば)味噌」といい、「豆腐ステーキ」といい、「唐揚げ」といい、お酒がすすむ食卓です。日替わりの手書きボードのメニューもお見逃しなく。

  • 朴葉味噌

ちなみにお酒といえば、飛騨古川でお酒を頼むと「どっちがいい?」と聞かれます。「どっち……とは?」と旅人は思わずマゴつきますが、地元では蒲酒造場の辛口な「白真弓」(のんべえいわく“まゆみちゃん”)、渡辺酒造店の甘口な「蓬莱」が2大定番なのです。

「はじめての人はぜひどちらも飲み比べてみて、自分の好みを見極めてみてください。飛騨の大人たちは『どっち派』というのをもっているんです。私の個人的な印象ですが、男性陣は『蓬莱』、女性陣は『白真弓』を支持する人が多い気がしますね」と笑う飛騨ガール。さて、あなたはどちらがお好みでしょうか。

「居酒屋 源」
住所:岐阜県飛騨市古川町本町3-47  
電話:0577-73-6683
http://j47.jp/gen/

「Shinanoya」でワインと欧風料理に乾杯

つづいて飛騨ガールが連れて行ってくれたのは、飛騨の地にいながらヨーロッパへとひとっ飛びできるお店。飛騨古川駅から徒歩2分、ワインと欧風料理が楽しめる「Shinanoya(しなのや)」にやってきました。スペイン、イタリア、スイスなどのヨーロッパ料理やワインを中心に、飛騨牛やえごまを使った地元ならではのメニューがいただけます。
 
ママに人気メニューを尋ねると、「『生ハム』、『ラクレットチーズ』、『ブルスケッタ』が定番かな? 地元のえごまを使った『えごまピザ』、『えごまオムレツ』もおいしいですよ!」とにっこり。
  • えごまピザ

最近は飛騨産のジビエ料理もスタートして、人気メニューに仲間入りしたんだとか。この日も新鮮な鹿肉が入荷していたものの、すでにお客さんのお腹の中でした。ガッカリしていると、「コレ食べた? まだなら食べときな!」と先客のおじさまが薦めてくれたのが「丸ズッキーニとトマトのミルフィーユ仕立てオーブン焼き」。

  • 丸ズッキーニとトマトのミルフィーユ仕立てオーブン焼き

言われるままに注文すると、やってきたのはまるまるとした珍しいズッキーニ! 飛騨在来の品種などを中心に、季節の野菜を約50品目育てている農家「ソヤ畦畑」のものだそうで、新鮮なトマトとあわさって、みずみずしい、とろけるような味わいでした。おじさん、ありがとう。


飛騨の名産であるえごまをたっぷり使ったプチプチ食感の「えごまピザ」、やわらかい飛騨牛の赤身肉にテーブル上で火を入れてくれる「飛騨牛の炙りにぎり(3貫)」、そしてキリッと冷えた白のグラスワイン。飛騨ナイズドされたヨーロッパを旅して、お腹いっぱい。予算は1人3000円ほど。ごちそうさまでした! 

「Shinanoya」
住所:岐阜県飛騨市古川町金森町11-24
電話:0577-73-2447

  • 飛騨牛の炙りにぎり(3貫)

「パブ&スナックやまこし」でママ&地元客と夜を〆る

夜もふけてきて、3軒目のチョイスに迷う飛騨ガール。というのも、おひらきにするなら、最後にみんなで中華そばをいただくのが飛騨古川カルチャーだから。中華そば屋へ向かってラーメンとビールで仕切り直し、昔ながらの醤油味の中華そばをすすって解散するのがお決まりなのです。
 
「中華そばのほかは、お寿司屋さんに流れることもしばしば。もしくはスナックになだれこむというテもありますね! なぜか古川はスナックのお店が多いんです。」というわけで、満腹のお腹をさすって、ここはキュートなママが切り盛りするスナック「パブ&スナックやまこし」へ。

飛騨古川駅から徒歩5分。飛騨の山菜・野菜、飛騨牛などを使った在郷料理が楽しめる料亭「山腰楼」の系列店です。扉を開けると「あらあら、ようこそ!」と、笑顔のママが迎えてくれました。

店内のソファ席は、古き良き時代を彷彿とさせる深紅のビロード。都心では失われつつある昭和の純喫茶のような、懐かしいインテリアです。店の奥にはダーツマシンと、名古屋グランパスのチーム旗。「たまに同僚ときて、あのダーツで遊ぶんです」という飛騨ガール。グランパスのほうはママが熱心なファンだそうで、選手たちの貴重なサインがたくさん入っていました。

ソファ席に落ち着いてハイボールを頼むと、2品のお通しと、山盛りのスナック菓子が登場。そしてはじまったのが、常連さんもまじえてのカラオケ大会。歌い終わるとテレビ画面のルーレットがまわり、絵柄が揃うとママからカップ麺のプレゼントがあるのです(歌の上手い下手で決まるわけではない)。

 

サービス精神旺盛な明るいママは、引き出しがとにかく多彩。地元のことから、今追いかけているアイドルまで、いろんな話がポンポンと飛び出して一同大盛り上がりの夜でした。さて、めいっぱい遊んじゃいましたが、気になるお値段は一人2000円(ホッ)。これならビギナーでも安心。出会う人々が楽しいからお酒がますますおいしい、そんな夜を過ごせる飛騨のはしご酒でした。
 
「パブスナック やまこし」
住所:岐阜県飛騨市古川町金森14-49

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